
忘れないよ。
ぶるぶるさん、アルタナミッションをようやくクリアいたしました。
長丁場のミッションで、久しぶりにプレイして色々思うところがありましたが、いいミッションでした。本当に。唯一不満なのは、ミッションのテキストの主語に「僕らは」と、わざわざ男っぽい単語を選んでることくらいです(笑)。ここはあんまり、性別を意識しない「私たちは」とか「我らは」にしてほしかったなぁ。語音数的に三文字の主語が欲しかったんだろうけど。
という訳で何を書いてもネタバレなので、一応折り畳みです。
……あ、胡蝶のイヤリングは、HP+25と抜刀時リゲインを選びました! リゲインとリフレシュは、今でもオンリーワンの性能なので、重要ですよね!
★★★

リリゼットとレディ・リリスの、精神的な成長というか、違いが如実に現れてしまうのがこの場面で、レディ・リリスが自らの有能性・優越性を突きつけても、もうリリゼットは悔しさや怒りを返さず、静かに沈黙してしまうのです。リリゼットは、もうリリスのゲームに乗ることはない。自分がしたいこと、するべきことは、勝敗生死を争うことではないのだと知ってしまっている悲しさです。
しかし、リリスはそうではない。というより、彼女はそのゲームから降りてしまったら自分で自分を認めることができなくなってしまうので、そうできない。「そういうものと自分を定めてしまった」ので。

リリスがリリゼットから「女神の力」を奪ったシーン、リリスの台詞が非常に哀切で印象的です。
「こんなものか」「こんなものにわたくしは」……この「女神の力」が何であるのか、何も具体的には語られず、映像とゲームルールでだけ示すところが、ゲーム内イベントという表現形態の粋という感じ。
「力(パラメータ)」としてみれば大したことのない女神の守護というものに力負けしたことへの悔しさと解釈することもできるけれど、これまでのストーリーの積み重ねを思うと、ここにはリリスという存在の絶望感みたいなものがただよっている気がします。
もしも闇の王のように、圧倒的な暴力によって蹂躙されたのであれば、それ以上の暴力によって勝つことができるけれど、そういう力比べでは解決できないコンフリクトが存在している――という現実そのものが、力のために契約したリリスには残酷なものです。
そして、また、「女神の守護」というものは、取り出して見てみれば、実はそんなにまばゆくも冴えたものでもないものです。愛、友情、平和、理解、認め合うこと、許すこと。そういうものって、憎悪や戦争や断罪に比べたら、実に見栄えのしない、ぱっとしない、弱々しい、何も解決してくれないようにさえ見えるものです。そういう平凡さ、弱さに耐えることこそが、「女神の強さ」なのであるのだけれど。
力の信奉者として生きることを選んでしまったリリスにとって、自分を負かした女神の守護というものが力を与えるものではない、というのは許しがたい、まさに冒涜的なものであったはず。
彼女は女神の力を取り込んでさらに戦おうとするのだけれど、それでも勝つことができなかった時に、ついに心が折れたのでしょうね。

リリゼットはひと足早く、先にリリスという存在を認めて受け容れ。「あなたの未来もそのまま繋がってほしい」と願った。そしてここで、ようやくリリスも、リリゼットという存在を受け容れる。強くて大人で美しく有能であること以外にも、人としてのかけがえのない価値が存在するということを思い出す。
オーディンとの契約、それは彼女が自分で選んだ以上、ある意味では自分で自分にかけた呪いなのですが、それを手放した彼女は、「こんなロクでもない世界壊れてしまえばいい」という気持ちに従わず、黒き未来に残してきた人々を守って導いてあげて、と願うのです。
リリゼットがリリスを否定し、リリスに勝利するという結末にならなかったのは、ヴァナ・ディール、ひいてはFFシリーズ全体が、基本的に均衡を重んじる世界観であることが大きいのだと思います。
が、やはりそれ以上に、否定という勝利ではコンフリクトは根本的には解決できず、受容がなければダメなのだという、キツいけど普遍的な真理ゆえなのでしょうね。
そして、リリスは自分を曲げることが不可能である以上、リリゼットががんばってリリスを受容するしかない。リリゼットは、ある意味では歴代ヒロインの中でも非常にしんどい、独特の重たさを背負ったヒロインだと思います。
けれど、こんな風に人間的に大きく成長したリリゼットだからこそ、きっと黒き未来の人々を導くことができて、もしかしたら黒くなんかない未来を作ることができるのでしょう。そうすれば、この二つの未来は、黒い未来と白い未来ではなくて、ただ単に二つの並行世界に――月並みで平凡だけれどその方がずっといい、結末を、迎えるのかも知れません。
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