
このSSくらいなら、ネタバレになっても許されます?
「蝕世のエンブリオ」、めでたくクリアいたしまして、その後LSの未クリアメンバーのお手伝いでも参加できました。満喫いたしました!
自分のクリアの時には、お手伝いで来てくれたメンバーが「よく周りを見るんだよ」と意味深に言っていたので、どんなことになるんだろうと思っていたら、あんな熱い展開が待っていたとは!
という訳で何もかもネタバレなので折り畳みにて。
★★★

過去コーネリアが来たー!
ラストバトルは、これまで縁があった、そしてすでに亡くなっていたNPCたちが助けに来てくれるという、熱いアンド熱い展開でした! 生者と死者の境界が曖昧になっているという、この状況ならではの展開で、これは号泣待ったなし。
ヴァナ・ディール世界は、ファンタジーとしては、意外と生死の境界がはっきりしている容赦のない世界です。「戦闘不能」という緩衝がある代わりに、「死んだ」と明記された人はよほどのことがない限り蘇らないので、回想とか残留思念のようなもの以外で出会うことはできないのですが、だからこそ今回の「よほどのこと」の出来事が胸に迫ってきますよね。
……ちなみに、私がクリアした時には、お手伝いさんたちが強過ぎて(笑)コーネリアが出てがんばっていた辺りでカオスをぶっ倒してしまい、その後のNPCには会えませんでした。レコやルザフ、そしてフィック!まで出ると聞いていたので、羨ましいなぁ!
あ、LSメンのお手伝いの時には、コーネリアが帰ってラジュリースには会えました。このあいだぶるぶるさんでアルタナミッションをやったところだったので、「おまっ……どの面下げて……」という気持ちも1ミリほどあったのを認めます(笑)。いやラジュリースはオーディンとの契約を拒否した歴史になってるはずなんだけど!(笑)
そしてレコはすでに亡くなっていたことが確定した訳ですね……。まぁ彼の生き方を考えると長生きできなかったのもわかる。一度は逃れたとはいえ罪狩りのミスラ(スカリーGとは別の)が再び追ってきた可能性もあるし。
ナナー・ミーゴはレコとロマー・ミーゴとの娘の可能性が大ですが、ロマーがナナーにレコとのことを何も話していないらしいのも、もしかしてロマーはレコが亡くなっているのを知ってたからなのかしら……などと考えてしまった。
もっとも、死んだと思ってなくても話さない気もするけど。レコはミスラ社会に光の弓をもたらしてしまったヨー・ラブンタの息子のはずなので、もしロマーがそのことにどこかで気付いた or 知ったとしたら、ナナーがその血を引いていることを隠した方がいいと判断するかも知れないですしね。
★★★
今回はオーディンがおいしい役回りだったなぁ!と思いました。
個人的には、オーディンというのはヴァナ・ディールにとってかなり厄災的存在なのであんまり好感がないんですけれど、眠れる神々の中ではかなり例外的にヴァナ・ディール寄りというか、割と明確に真世界の復活に否定的なのが感じられて、興味深いです。まあ、オーディンは真世界のジラートみたいな、闇とか強い感情とか持ってない存在より、今の人間・獣人のような存在の方が明らかに好きそうですけどね(笑)。
オーディンがヴァルハラに「強者」を招き続けていたのも、いずれ来るカオスとの戦いに備えていたという側面があった訳で……いや、でも、絶対半分はオーディンの趣味だろ!
そして「強者」枠に、コーネリアやラジュリースやルザフが入るのはもちろん、レコや、フィック!といった、単純な戦闘能力では必ずしも強い訳ではない人が入っているのも面白いです。オーディンの強さの基準は、「思いの強さ」あるいは「誰かから強く思われること」なのかな。その思いが、必ずしも闇に属するものでなくても。(騎士の契約の方は、闇の感情の強さ基準な気がしますけどね)
あと、カオスがこれまで全然人間の歴史で注目されなかったのは、カオスが滅ぼそうとするのが基本的に「ジラート以外」つまり人間じゃない存在なためにいわば埒外に置かれていたから、というのは、これまでのヴァナ歴史との整合性も整っていて非常に美しい設定だと思います。
これまでの物語で、人間の国家が力を合わせるのはもちろん、獣人たちの社会にも深く切り込んで、彼らと繋がっていく過程が描かれてきた訳ですが、それは単なる物語の広がりというだけでなく、「ジラートの末裔が、ジラート以外の存在と手を取りあい、一緒に生きていく」ことを意味していて、それ自体がカオスの考えを否定するものだったことが、最後にわかります。
ある意味では、カオスの対になる存在は「(プロマシアの復活を阻むために)人間だけを滅ぼそうとするバハムート」ということでしょうか。……竜族って、なんか、とにかく「全部滅ぼして解決だ」みたいな発想になりがちなんじゃろか。
しかし、個人的には、獣人というのは、たぶんプロマシアから分かたれた存在だろうと思ってたので、人間と同じようなものかと考えてたのですが……。あ、でも、カオスが「人間」と思ってたのは、あくまでカオスが生きてた時代の美しい人間=ジラート人のことだから、カオス定義では人間じゃないということになっちゃうのか。
そう考えると、古代人兄弟が活動してる時にカオスと接触しないでよかったー!って感じですよね! 接触してたらもう、その時点で今のヴァナ・ディールはジ・エンドになってたはず!

そして、「蝕世」とは、実は「ポスト真世界(の存在)」という意味であることが語られる、カオスの最後の台詞は心憎いですね。さらに言えば、「エンブリオ」とは(まだこれからどうなるかわからない)受精卵の胚のことであり、カオスやガラズホレイズ、あるいは物語そのものが、再三言及し、われわれの前に示してきた、「可能性」「選択肢」の象徴とも言えます。
「蝕世のエンブリオ」は、カオスの卵のことではなくて、われわれのことなのだと。
ガラズホレイズもカオスも、可能性を残す……と口にはするけれど、彼らの言う「可能性」は結局自分ひとりのものしか意味しなくて、自分以外の可能性を尊重することはしない。でも本当は可能性というのは自分以外の全ての存在にあるのだから、本当に可能性を信じるのならば、蝕世のエンブリオとして生きていくべきなのです。アルタナが、全てを愛すると言い、実際そうしたように。
だからこそ、ヴァナ・ディールを一時は荒廃させることになった戦争を招いたオーディンやアレキサンダーについても、アルタナは眷族を派遣して歴史を修正することはあっても、滅ぼすことなく見守り続けたのかも知れないなぁ。
……などということを考えたりもしました。
★★★
しかし、メタ的視点でいうと、このカオスの立ち位置はとてもうまいところに落とし込んだなという感じです。プロマシア、オーディンとアレキサンダー、水晶の龍、暗闇の雲といった、ヴァナ・ディール世界の頂点に位置するような存在の後に登場するラスボスなので、半端な存在にすることはできないけど、存在の格をインフレさせるのも問題だし。
アドゥリンミッションはそういう意味で、ラスボスのハデスはプロマシアの変奏曲でしかないので、ミッションストーリーの核はラスボスそのものではなく、人間側のコミュニケーションにフォーカスしています。
その点、エンブリオはどうするのかなぁと思っていたのですが、「存在の格としては結構低いんだけど、問うものはミッションを支えるに足る重さを持っている」というラスボスを核にしてありました。
(星唄ミッションのような)ひとつの結論を出した物語の後に、さらにストーリーを紡いでいくとしたら、どういう位置づけにしてどういうことを語るのかは、かなり難しい問題です。
一歩間違えると、
・物語を支えるエネルギーが「世界のパーツを使って欲望を満たすこと」しかない、セルフパロティや公式二次創作になる
・新ストーリーを作るために、前に築いたはずの物質的精神的財産・成長を全部ぶち壊して台無しになって誰得展開に陥る
みたいな悲劇を招きがちなのですが、エンブリオはそういった陥穽にはまることなく、見事なストーリーを紡いでくれたと思います。
本当に素敵なミッションでした。ありがとうございました!
……唯一気になっているのは、ウランマフランが微妙な感じでフェイドアウトしてしまっており、イルディゴルディさんとの関わりも語られぬまま終わってしまったことです(笑)。
まぁこの二者は、召喚士AFクエストや召喚獣取得クエストのキーになるので、あんまりいじれないというところでしょうか。今後その辺の追加クエストを入れてもらえないかなぁ!(笑)
タグ:蝕世のエンブリオ
楽しみですねー!